保育士の年収を上げるのに賛成?反対?

育児

新卒保育士に最大20万円を給付

保育士不足が深刻化するなか、大阪市は5月6日、待機児童対策の一環で新卒の保育士資格取得者で保育所やこども園などの保育施設へすぐに就職する人を対象に、最大20万円の給付金を導入すると発表しました。
初年度に最大10万円、1年間勤務するとさらに最大10万円を施設を通じて給付するそうです。

この発表をどう思いますか?
個人的には、これで保育士を目指す人を増やすのは難しいんじゃないかなというのが正直な感想です。

保育士の年収平均は約323万円

厚生労働省が発表した平成27年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は約323万円(※)、月額給与は約21万9000円でした。
これは平均年齢35歳勤続年数7.6年、キャリア十分のむしろベテランの域に入ろうかという保育士さんの収入です。
一方で、東京都の公立小学校の先生の大卒初任給は約24万7000円
すでにベテラン保育士さんを1年目にして上回っています。
たぶんここから下がることもないでしょうから、格差は広がるばかりです。

<保育士の平均値>
・平齢 35歳
・勤続年数7.6年
・月収 21万9200円
・賞与 その他特 60万3000円
・年収 323万3000円
(平成27年賃金構造基本統計調査より※平均年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出)

小学校の先生が貰いすぎとは言いません。
保育士さんが少なすぎると思うのです。
実家住まいや1人暮らしだったらなんとか生活していけるかもしれません。
でもこれが家族を養っていくと考えたときに、どうでしょうか。
男性の保育士さんがなかなか増えないという実態は、仕事内容がどうこうではなく、生活していけるだけの収入がないことに尽きるのではないでしょうか。

子供の命を預かるという責務を負うだけの保証を

今更ですが、保育士さんの仕事は子供たちの衣食のお世話だけではありません。
生活面でのしつけや人との関わり方、物事への興味喚起・・・
心身の発達や子供たちの成長を促す、マニュアル一辺倒ではこなせない、とても複雑多岐に渡る仕事です。
もちろん、生まれて間も無い0歳児からの子供たちを預かるうえで、命への責務は常についてまわります。
室内でも外でも目は片時も離せず、怪我や病気に対する知識も必要となります。

つまり保育士さんは、子供に関する様々な専門知識、専門スキルを持ち合わせた、いわば育児のプロなのです。
子を預ける親の立場からみても、一緒に我が子を見つめ、成長を支えてくれるこれほど心強い存在はないのではないでしょうか。

いっときの20万円より、将来を安定的に生活できるだけの月給を。

子供たちの笑顔のため」その一心で頑張ってくれている保育士さんのために、そして子供たちのために、そう願わずにいられません。