清原和博の量刑について、もう少し踏み込んで考えてみたい
以下に前科のない芸能人による、薬物犯罪の判決結果をまとめてみた。
※同時に銃刀法違反など、他の犯行もある場合は除外している。
1977年〜1990年
桑名正博、麻薬・大麻(証拠隠滅) → 懲役2年執行猶予3年
井上陽水、大麻 → 懲役8ヶ月執行猶予2年
中村耕一、覚醒剤・大麻 → 懲役1年6ヶ月執行猶予2年
勝新太郎、アヘン → 書類送検
清水健太郎、大麻 → 起訴猶予
萩原健一、大麻 → 懲役1年執行猶予3年
尾崎豊、覚醒剤 → 1年6ヶ月執行猶予3年
今井寿(バクチク)、麻薬 → 懲役6ヶ月執行猶予3年
1991年〜2000年
ミッキー吉野(ゴダイゴ)、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
★江夏豊、覚醒剤 → 懲役2年4ヶ月の実刑
翔(横浜銀蝿)、覚醒剤 → 不起訴処分
sakura(元ラルク)、覚醒剤 → 懲役2年執行猶予3年
槇原敬之、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
2001年〜2005年
カルーセル麻紀、麻薬・向精神薬 → 不起訴処分
いしだ壱成、麻薬・大麻・LSD → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
西川隆宏(元ドリカム)、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
岡村靖幸、覚醒剤 → 懲役2年執行猶予3年
ダイシ、覚醒剤 → 懲役1年10ヶ月執行猶予3年
ユウ・ザ・ロック、大麻 → 懲役8ヶ月執行猶予3年
2006年〜2010年
★大森隆志、覚醒剤・大麻 → 懲役2年6ヶ月執行猶予4年
赤坂晃、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
ジョン・健・ヌッツォ、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
★加勢大周、覚醒剤・大麻 → 懲役2年6ヶ月執行猶予3年
押尾学、合成麻薬 → 懲役1年6ヶ月執行猶予5年
酒井法子、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
小向美奈子、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
2011年以降
若山騎一郎、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
仁美凌、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
★ASKA、覚醒剤・麻薬 → 懲役3年執行猶予4年
栩内香澄美、覚醒剤・麻薬 → 懲役2年執行猶予3年
田口智治、覚醒剤 → 懲役1年6ヶ月執行猶予3年
比較的刑が重い芸能人に★マークを付けた。
彼らに共通しているのは、所持していた薬物の量が多かったという事実だ。
加勢大周の場合は、覚醒剤約3g、乾燥大麻約9.4g、
さらに栽培中の大麻草25株も見つかっている。
元サザンの大森隆志の場合は、覚醒剤約9g、乾燥大麻約27gが見つかっている。
ASKAは合成麻薬MDMA20gだった。
最も刑が重く、実刑判決となった江夏は、覚醒剤を約50g所持していた。
今回、清原が所持していたとされる量は、覚醒剤0.1gなので、
★芸能人に比べればかなり少なく、常習性も低いと判断される可能性がある。
初犯の場合は、懲役2年以下+執行猶予3年以下が多い
清原は既に薬物の”使用“も認めているので、
ただの”所持”よりは刑が重くなってしまうだろう。
さらに使用していた期間だが、昨年の春先に入院治療をしていたので、
数年に渡り使用していた可能性がある。
また、昨年は逮捕の噂が何回も流れたにもかかわらず
止めることができなかった点も、常習的と思われてしまうかもしれない。
薬物犯罪の法定刑
法定刑では最高10年の懲役(41条の3第1項1号)となっており、
それ以下の量刑となる。
いきなり初犯で実刑(執行猶予が付かない刑)はないだろう。
量刑の内容はどのように決まるのだろうか?
以下の3つの観点で裁判官が判断するという。
犯情:犯行の動機や方法、常習性、犯行によって生じた結果などの
事情常習性(依存度)は1回の使用量が目安になるという。
量の目安は0.03グラムのようだが、今回発見されたのは0.01グラムだった。
状情:犯人の年齢や性格、経歴、環境、反省の態度 など事務所預かり
となっていた清原だが、逮捕となれば後日解雇されてしまうだろう。
監督やコーチなどへの道も閉ざされ、
当然他の仕事の依頼も殆どなくなると思われる。
いわゆる社会的制裁を受けることになる。
性格は自由奔放で短気なところはマイナスだが、
逮捕時は暴れることもなく、薬物を「自分のものだと」と素直に認めている。
反省の様子も伺えるので、この点はプラスに捉えられるだろう。
予防:本人を矯正して将来犯罪を行わないようにできるか状情の
「反省の態度」と同じく、真摯に反省し再犯を犯さないかが判断される。
薬物を絶つ具体的なプランや、慈善活動などのプラン等があれば、
プラスに捉えられるはずだ。
通常初犯は『懲役1年6か月、執行猶予3年』程度と言われている
しかし有名な元野球選手が犯罪を犯した、という点は一般社会への影響が大きく
重く受け止められてしまう 。
芸能人や有名人の場合、通常の刑にしてしまうと、
興味本位で真似をする犯罪が発生してしまうため、
予防のために、通常より刑罰が重くされる傾向があるという。