潮干狩りのシーズンに入ってきました。
私も先日、近場の海へ潮干狩りに行きましたが、
良くも悪くも全然獲ることができませんでした。
今年は最多ペースで
アサリやシジミなどから基準値以上の貝毒が検出されており、
自主的に出荷を規制しているようです。
農林水産省によると、関西の大阪・兵庫・徳島を中心とした
56の海域で規制値を超え、出荷が自主規制されているそうです。
<朝日新聞デジタル>
貝毒の検出は、麻痺性貝毒と下痢性貝毒に分けられていますが、
毒素の種類が異なるだけなので、貝の種類で区別することはできません。
例えば、ホタテもアサリも麻痺性貝毒と下痢性貝毒の両方があり、
異なる毒素が検出されます。
貝毒におかされるとどうなる?
貝毒の種類は多種多様なのですが、
その症状は、しびれ、腹痛、下痢、嘔吐をはじめとし、
記憶喪失、最悪の場合は死に至ることもあるようです。
記憶喪失は、脳細胞の異常興奮により海馬が破壊されるそうです。
またフグ中毒と類似している貝毒もあるようで、かなり毒性は高いようです。
144名が亡くなった、国内最悪の貝毒事件
浜名湖アサリ貝毒事件
1942年(昭和17年)3月から1950年にかけて静岡県の
浜名湖を中心にアサリやカキによる集団食中毒が発生した事件。
患者334名、うち死者144名となった。
翌1943年にも患者16名が発生し、うち6名が死亡している。
アサリ10から15個は安全量、40から60個が中毒量と結論している。浜松保健所により食中毒の原因究明が行われ
浜名湖産のアサリがその原因であることが突き止められたが、
アサリに含まれる何が食中毒の原因となったのかは不明であった。
海外での食中毒
1987年の11月から12月にかけて、カナダのプリンスエドワード島で、
ムール貝の近縁種である10センチほどの食用の貝、
ムラサキイガイを食べた人に中毒が発生する事件がありました。
中毒者は153人、うち重症19名、3人が死亡と報じられています。その中毒の内容が極めて異質なもので、食後3~6時間で腹痛、
下痢、嘔吐、流涎(りゅうぜん:唾液が止まらなくなる)などの
海洋性毒素にありがちな中毒症状を引き起こすのですが、
中毒者の大半に、凄まじい平衡感覚の消失、天地が逆になったような感覚、
さらに病院に見舞いに来た家族の名前を思い出せない上、
誰なのかさえ認識できないという記憶障害が多発しました。
様々な記憶がランダムに消失しており、その症例はアルツハイマー型認知症に
酷似していたそうです。さらに、食中毒症状が収まっても記憶障害は改善せず、
深刻な神経障害が残ったといいます。調査の結果、毒素の名前は、ドウモイ酸というアミノ酸の一種。
60mg以上で中毒症状発症、115mg以上で記憶障害、
300mg程度で致死量(人間)ということが分かりました。
カナダで中毒を起こした貝は、貝の身100g当たり約30mg~150mgという
高濃度のもので、2、3個食べただけで致死量に達するものでした。
治療法がない貝毒
専用の血清や解毒剤などの特異療法は確立していません。
対症療法では胃洗浄や人工呼吸などがあるようですが、
これじゃあほとんど効果は期待できそうにありません。
加熱しても毒性が残る貝毒
貝毒のほとんどが加熱しても毒性が残るようです。
フグの毒もそうですよね、、、
貝毒が蓄積する部位
貝毒は中腸腺(ちゅうちょうせん)という部位に蓄積されるようです。
アサリやシジミなどの小さい貝は、部位の特定が難しいと思いますが、
ホタテなどの大きい貝は、画像のようにすぐ分かると思います。
私も見た目があまり美味しそうじゃなかったので、
以前から毒性のある部位とは知らず取り除いてました。
安全な場所で潮干狩りを
貝毒が検出されている海岸は、閉鎖されている可能性もあります。
事前に府県が発表している貝毒情報を確認してから
潮干狩りする場所を決めると良いと思います。
・兵庫県
http://www.hyogo-suigi.jp/kd/kd_top.htm
・大阪府
http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/suisan/gijutsu/kaidoku/
それでも食べるのが心配な場合
小さい貝の中腸腺を取り除くのは大変だと思いますので、
食べずに出汁をとるくらいが安全だと思います。
中腸腺が区別できるくらい大きい貝は取り除きましょう。
一度に食する量もあまり多くない方が安全です。
浜名湖アサリ貝毒事件では10個までは安全と報告されています。
また、連日食べると毒素が分解できないまま
連続して食べることになってしまうので、
できれば日をあけて食べた方が良いと思います。