出生数がついに100万以下。国は早急に少子高齢化対策を

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2016年の合計特殊出生率は1.45、2015年の1.29から少し回復しましたが、
出生数は98万1000人でした。
(合計特殊出生率:1人の女性が生涯に産む平均子ども数に相当)

1899年に動態統計を取り始めてから初めて出生数100万人を割ってしまいました。
しかし無理もありません。出生率は1975年に2.0を下回ってから40年以上もそのままなのです。

普通に考えれば、このままいくと出生数はどんどん下がり続けます。
基本的には出生率が2.07以上にならないと、人口増加は見込めないそうです。

[aside type=”normal”].07の理由:男性は女性より少し多く生まれるようです。
また事故や病気で亡くなる人を考慮すると2.07くらいで実質2人になるようです。[/aside]

出生率が低くて人口が減る例

最初の人口が100人(内女性50人)だとします。
女性50人の出生率が2だとします。
その場合100人の子供を出産して、総人口は200名となります。
しかしその後、両親が全員亡くなったとします。
そうするとまた100名になり、人口は横ばいです。

もし出生率が1.5だとしたら75名の出産です。
総人口は175名となります。
しかしその後、両親が全員亡くなってしまうと、
総人口は75名で人口減少となってしまいます。

出典:総務省

仮にもし出生率2.0以下が何千年も続くとどうなるでしょうか?
最後は子供一人だけになってしまいます。
当然、出産することができず人間は滅亡?

そんなことはまず起こりえないと思いますが、
可能性としては0ではないのです。

目次

主要国の出生率

こんな低い出生率は日本だけかと思いきや、多くの国が2.0以下でした。
国民一人当たりのGDPが世界1位のルクセンブルクやアメリカも今は2.0以下です。

出典:厚生労働省「人口動態統計」
出典:厚生労働省「人口動態統計」
出典:世界銀行

出生率の低迷が起こす問題

世界的に起きている出生率の減少ですが、
その事が引き起こす問題点はあるのでしょうか?

少子高齢化

少子高齢化とは、若い人が少なくて高齢の方が多いことを言いますが、
直接的な要因はもちろん出生率の低さが挙げられます。

私のようなベビーブーム世代がこの世を去ると、
高齢化のピークも過ぎ去るかのように思えますが、、、(図の赤枠部分がピーク)

出典:国立社会保障・人口問題研究所

以下の図もあくまで予測で、出生率2.0と1.5が続いた場合の比較になりますが、
1.5の場合、64歳以上の割合は36%となります。

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条件:子供の出産年齢を30〜40歳、寿命を90歳としています。

経済規模の縮小

人口減少は国内総生産(GDP)全体にも影響を及ぼし、世界3位の規模を誇るGDPも、生産性の飛躍的な向上なくして、その水準を維持するのは困難になる。国の経済規模が縮小することで、結果として個人の豊かさに影響を及ぼす可能性がある。

確かに人口が減れば、国のGDPも減少すると思いますが、
国のGDPが高いからといって必ずしもその国が豊かとは限らないと思います。
例えばですが中国のGDPは2016年に世界2位ですが、
国民一人あたりのGDPは73位です。(日本は22位)

世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング

出典:MF – World Economic Outlook Databases (2017年4月版)

ルクセンブルクは人口約56万しかない小さな国です。
国のGDPは74位ですが、国際競争力は23位。

人口を増やして国のGDPを高めることによって国民のGDPも牽引する。
尤もらしい考え方だと思いますが、以下の世界人口ランク上位で、
国民一人当たりのGDPが世界20位内にランクインしている国はアメリカだけでした。

出典:IMF – World Economic Outlook Databases (2017年4月版)

労働力不足

子供の数増えないと、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)も減少傾向をたどる。足元の雇用情勢は、有効求人倍率がバブル期以来の高水準で推移し、新卒の就職活動は売り手市場といわれる。
子供の数の減少は、将来の労働力の供給に影響を及ぼし、結果として日本全体の経済にも打撃となる。

「経済規模の縮小」と説明が重複しますが、
人口が多くて働き手が多いからといって、
その国民が裕福とは限りません。

言い換えれば、
人口が多くて会社が多くあるからといって、
その国民が裕福とは限りません。

労働力不足は経営者にとっては頭の痛い問題です。
最悪確保できなければ、会社の倒産が相次ぐかもしれません。
しかし人口が減少するのですから、会社が減るのも当然です。

もし倒産しても、売手市場なのですから、必要とされる会社を新たに始めたり、
または安定を求めて転職するのも良いかもしれません。

労働者側にとっても売り手市場ということですから、
運悪く働いている会社が倒産しても、
良い条件の会社に転職できる可能性もあるのではないでしょうか。

社会保障の持続性

社会保障、特に年金制度への影響が大きく、年金受給世帯を支える屋台骨ともなる現役世帯が子供の数の減少を受けて縮小。その結果として、高齢者の年金受給を支えるため、現役世帯から徴収する全体の保険料も減少し、受給額や保険料の見直しを余儀なくされ、世代と世代の支え合いとされる年金制度の持続性が危ぶまれる。

今の日本の社会保障は、少子高齢化を前提としていないので、
現状の社会保障では崩壊すると言われています。
もし崩壊するとしても原因は少子高齢化にあるのではなく、
古い日本の社会保障の仕組みや財政にあるのだと思います。

これから100年以上は続くとされる少子高齢化社会ですから、
安心して老後が暮らせるような社会保障の仕組みを
早急に構築する必要があると思います。

そして同時に以下のような、
出生率を改善する施策も必要ではないでしょうか。

  • 保育園不足の解消
  • 保育士の待遇条件解消
  • 育児休暇の男女義務化(休暇後は時短または在宅勤務など)
  • 保育園〜大学までの学費完全無料化
  • 低所得者への補助拡大
  • 妊娠者や小さい子供連れ家族へ配慮するマナーの周知
  • 未就学児対象の事業に対する国の補助や支援
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