iPhoneXやニンテンドースイッチの注文がキャンセルされてしまう事があるようです。
「iPhone X予約キャンセルメールに騒然」(週刊アスキー10/30)
ニンテンドースイッチの方はiPhoneXほど厳しくチェックはしていない様ですが、
キャンセルされたといった報告がネット上にありました。
任天堂公式サイトの特定商取引法に基づく表示でも、
キャンセルについて以下の様な記載がありました。
・お客様が規定数量を超えた注文を行ったと当社が判断する場合
(お客様1名につき購入できる数量を規定している場合であって、
登録情報等に鑑みて複数のアカウントにより第三者を装う等して
規定数量を超えた数量の注文を行ったと判断できる場合を含みます。
なぜ複数購入がNGなのでしょうか?
商品や市場によって違ってくるかもしれませんが、
思いつくのは「転売対策」です。
転売業者や個人による価格の高騰
iPhoneXのような人気商品であれば、発売されてもすぐに完売してしまう可能性があります。
iPhoneXは11/3に発売されました。定価は
64GBが¥112,800 (税別)/¥121,8244 (税込)です。
256GBが¥129,800 (税別)/¥140,184 (税込)です。
今日は11/11なのでまだ一週間くらいしか経ってませんが入手困難な状態です。
Appleの公式サイトでは、どちらの容量モデルも配達されるのは3〜4週先のようです。
ヤフオクやメルカリでは当然のように定価以上で売られています。
それでもすぐに入手できるので、取引が成立しているケースがあるようです。
ニンテンドースイッチも当初の予想を大きく上回り、今でも供給量が追いついていません。
公式サイトで不定期に予約注文を受け付けていますが、
注文できたとしても配達されるのは1ヶ月先です。
私もこの予約をしようと予約開始日時に4度くらい挑戦しましたが全くダメでした。
毎回、数百回クリックしたと思います。
ただの指先運動で終わりました、、、
(諦めてその後、ヤフオクで購入しましたorz)
ニンテンドースイッチは2017年3月に¥29,980(税別)で発売されましたが、
半年以上経過した今でもネットではだいたい36000〜39000円で売買されています。
(参考:価格com、ヤフオク、メルカリなど)
数年前では「妖怪ウォッチ」が大ブームだったのもまだ記憶に新しいと思います。
妖怪ウォッチの場合は、定価の3倍でも取引が成立していました。
転売価格の高騰が市場に及ぼす影響
商品の品薄状態が続くと、どういう影響が起きるのでしょうか?
店頭での販売価格は変わりませんが、転売業者や個人による転売価格が高騰します。
影響は商品や市場の構造でも異なると思いますが、
例えばニンテンドースイッチの場合で考えてみたいと思います。
例えば予算4万くらいあったとします。
定価だったら、本体(3万)+ソフト(5千円)2本くらい買えるものが
転売だと本体(3.6万)+ソフト(4千円)1本くらいになってしまいます。
任天堂ではゲームソフトも制作しているので、当然ソフトが多く売れることも望んでいます。
他のゲーム会社にもゲームが売れて儲かってもらわないことには、
ニンテンドースイッチのソフト数も増えていきませんし、
そのゲーム会社のゲーム開発費も削減されてショボゲーが誕生してしまいます。
ようするに自分たちゲーム業界とは全く関係のない企業や個人に、
莫大な利益を与えてしまい、同時に
自分たちゲーム業界に還元されるはずだった
利益が他へ流出してしまっているのです。
他にもまだ考えられます。
ゲームソフトが少しでも多く流通すれば、例えば自分の家に友達Aを呼んで一緒に遊んだときに、
友達Aが「面白い」ゲームに遭遇する確率が高くなります。
友達Aがスイッチを持っていなければスイッチが欲しくなりますし、
スイッチを持っていてそのゲームを持っていなければ、ゲームが欲しくなるはずです。
ゲームをプレイした人は、ネットのブログや掲示板で何かゲームに関することを
つぶやくかもしれませんし、学校でゲームの会話をするかもしれません。
ゲームソフトの売り上げ本数が多くなれば、多くの人が多くのゲームに遭遇する可能性が高くなりますが、
転売によってゲームソフトの売り上げ本数が少なくなると、連鎖的にゲームソフトが売れる機会を逃がすことになると思われます。
極端に言ってしまうと、ゲーム業界はゲームが多く売れないと始まりません。
本体を販売している任天堂でも、本体の価格は企業努力で極力下げているようで、そこで大きな利益を得ようとは考えていないようです。
部品だけのコストで考えてみても、本体の方は液晶をはじめ安くない部品が少なくありません。
しかしゲーム1本の部品コストは数百円にすぎないと思います。
もちろん本体もゲームも開発コストがかかっていますが、ゲームの方が部品コストが圧倒的に安いため、
売れれば売れるほど利益率が高くなる感じです。
転売によって眠る商品
個人の転売は数台かもしれませんが、それでも多くの個人が何台も転売目的で購入したら
膨大な数になってしまいます。
企業の場合は、その資金や予算が許すかぎり大量に買い占めることができてしまいます。
転売では、できるだけ高い価格で売ろうとします。
例えば36000〜39000円の間で取引されていたとすると、
当然多くは人は39000円で売りたいと思うはずです。
そうなるといくら品薄のスイッチでも、誰でもすぐに飛びついて購入しません。
例えば10台転売目的で入手して39000円で売りに出しても、すぐには完売はしないと思います。
35000円とかでしたら一瞬で全て完売するかもしれませんが、
そうしようとはしません。
多くの人は多少は完売が遅れても、高値で売ろうとするはずです。
すると倉庫か家の押入れか分かりませんが、
そのスイッチは誰にも使われず、しばしの間眠ることになります。
メーカーが市場に出荷したはずの製品が、
定価だったら喜んで買う人がいるのにも関わらず、
どこかで眠ってしまうのです。
例えばニンテンドースイッチ本体が100台、市場に出荷され、
すぐに100台完売したとします。
当然ゲームソフトも最低でも100本は売れることが期待できます。
しかし、上記のように転売業者によって眠ったりする本体があると、
ゲームソフトの売り上げが100本を下回る可能性が出てきてしまうのです。
道徳的な問題も
世の中のメーカーは、何も利益だけを求めていないと思います。
特に任天堂はそういう企業なはずです。
裕福な家庭、貧しい家庭、そういった事は関係なく
少しでも多くの人に楽しんでもらいたいと思っているはずです。
しかし転売によって価格が高騰すると、当然貧しい家庭では手が出しずらくなってしまいます。
この考え方は、チケット転売禁止と全く同じだと思います。
以下はチケット転売禁止広告の文言です。
コンサートのチケットを買い占めて不当に価格を釣り上げて転売する個人や業者が横行している現状に、私たちは強い危機感を持っています。
これらの組織的・システム的に買い占めるごく少数の人たちのために、チケットが本当に欲しい数多くのファンの手に入らないことに強い憤りを感じています。
転売サイトで、入場できないチケットや偽装チケットが売られるなどして、犯罪の温床となっていることも憂慮しています。また、私たちアーティストがあずかり知らないところで自らのライブのチケットが高値で転売されることで、
ファンは高い金額を払って大きな経済的負担を受け、何回もコンサートを楽しめたり、グッズを購入できたであろう機会を奪われています。
このように転売による価格高騰は業界に関わらず、百害であって一利なしなのです。
なので任天堂やAppleも転売目的と思われる購入に対して、キャンセルという措置を講じているのだと思います。